オススメの本「イノベーション・オブ・ライフ」ー事業戦略を人生に適用すると?
「イノベーションのジレンマ」で大変有名なクレイトン・クリステンセン(Clayton M. Christensen)による、キャリアを含めた人生論。
原題は"How Will You Measure Your Life?"
事業戦略で用いられる理論をキャリアや人間関係に適応することで、より良い選択を行い、幸せな人生を送るためにはどうすれば良いかを書いた本。
より良いキャリアを実現するためには、
①「衛生要因」と「動機づけ要因」を理解した意思決定
②「創発的戦略」と「意図的戦略」のバランスを図った機会の追求
③戦略実行のための資源配分(時間・労力・お金をどのように使うか)
の3点が大切だと説く。
まず、①については、報酬というのは「衛生要因」に区分され、一定額を下回ると「仕事に不満がある」状態になるが、一定額を上回れば「不満がない」状態になるだけで、報酬が増えれば増えるほど「やる気が出る」ことには繋がらないという。従って、キャリアを選ぶ際には、報酬を含めた「衛生要因」を満たしたうえで、何よりもモチベーションが湧いてくる仕事を選ぶことを意思決定の基準とすべきと説かれている。
そして、特に面白いのは②の創発的戦略をキャリアに当てはめて考えている点。
ホンダが北米市場で成功を収めた理由として、予め「意図」していた大型バイクではなく、たまたま「創発的」に機会が見つかったスーパーカブを売ったケースを紹介している。
キャリアも同じように、自分が求める(衛生要因と動機付け要因両方を与えてくれる)仕事が見つかっていれば、「意図的」に設定した目標をどう達成するかに集中すれば良いし、
もし、それが見つかっていないならば創発的戦略を取り、人生で様々な実験を繰り返し、一つ一つの経験から学びつつ、戦略を素早く修正して、これと思う仕事が見つかるまでそれを続けるべきだと説く。
そして③では、「戦略」を実行するために、自身のリソースを割り当てなければ意味がないとご指摘されています。当たり前ですが。。。
また、クリステンセン氏は、仕事は人生の1つの要因でしかなく、それと同じかそれ以上に、家族や友人との関係を大切にすることが、人生の幸福に繋がるということを一貫して主張されています。
HBS教授という、ゴリゴリのビジネスマンを輩出していく立場の方にありながら、仕事一辺倒に傾いてしまうことのリスクを多く語っておられますので、重みが違いますね。。。人生を考え直す良い機会になります。
就活生や若い人は、キャリア論を語っている第一部(約80ページくらい)だけを読んでも楽しいかもしれません。
一貫して、「企業等の具体事例」→「理論の紹介」→「人生に当てはめるとどういうことか」という順で話を進めてくれているので、非常にわかりやすく、かつ楽しい。事例紹介だけでも読む価値がありそうです。
おすすめの一冊です。
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