オススメ本「3000億円の事業を生み出す ビジネスプロデュース戦略」三宅孝之・島崎崇 著
ドリームインキュベーター執行役員の両名による、大企業による新規事業の創出方法(=ビジネスプロデュース)について書かれた著作。
上場会社の新規事業担当者は必読の書籍かと思います。
(Kindle Unlimitedで読めるようなので、絶対読んだ方が良いですね。)
大企業が新規事業を立ち上げるうえで重要な根源的な問いは、
- どんな社会的課題に立脚しているか?
- あなたの企業でできる範囲と、他のプレイヤーにお願いすべきところはそれぞれ何か?
- あなたの企業がそのポジションを取れる理由は何か?
- 他のプレイヤーがそれをやってくれる理由は何か?
- その事業には具体的にどんな法整備や規制の緩和が必要か?
とのこと。
新規事業の役員クラスにこの問いをぶつけても、ほとんどの方は答えられないという。
かつては、新規事業を創出するためには、成長分野へ進出すれば良かった。 それが、(国内)市場が発展・成熟化していくに伴い、ほとんどの製品やサービスは、今の世の中存在している。 このような状況においては、「新規事業のタネは業界の枠組みを跨いだところ」に存在しているという。
では、どうやって業界の枠組みを跨いでいくのか? 最も大切なことは、「解決したい社会的課題」を明確にし、高い視座に立って様々な業界やプレイヤーを巻き込み、協力し合って事業を作り出していくことが必要になる。
そのためのステップとして、
というステップを踏んでいくという。
上記ステップを進めるうえでの、ポイントとしては以下。
- 社会課題に立脚する理由は、高い視座を持つことで、業界を跨いだ構想を描ける=他プレイヤーが参加してくれる。
- 業界×バリューチェーンの構想を描くためには、相当深いレベルでのリサーチを行う必要がある。
- 構想(構想を作る前段階の妄想)を練り上げていくためには、社外の素敵な人との(たくさんの)議論が重要
とのこと。
最も印象に残ったのは、想像以上に社外の様々なステークホルダーの人との議論を重ねていく点だ。
「予算は研究開発費よりも旅費につける」べきだというほど、(素敵な)人に会って議論していくべきだという。
コンサル界隈から出される本では、ロジカルシンキングや仮説・検証プロセスの切れ味ばかりが取り上げられていますが、前提となる知識の習得・人と人/事業を結びつけていく構想や関係性づくりの重要性が押し出されており、とても良い本です。
★★★★☆(評価:星4つ)
https://www.amazon.co.jp/3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略-三宅-孝之/dp/4569824293